消費者が製品やサービスを選び、購入する意思決定プロセスは、マーケティングにおける重要な研究領域です。このプロセスを理解することで、企業は消費者のニーズや行動により適切に応じることができます。消費者意思決定プロセスは、一般的には次の5つの段階で説明されます。
1. 問題認識（Problem Recognition）
消費者が何らかのニーズや欲求に気づく段階です。例えば、「古いスマートフォンが故障した」や「お腹が空いた」など、消費者が製品やサービスを必要としていることに気づく瞬間です。この段階がなければ、購買行動は発生しません。
例:
- 冷蔵庫が壊れて、買い替えが必要だと認識する。
- 新しいスマートフォンの発売により、今のスマートフォンが古いと感じる。
2. 情報探索（Information Search）
問題認識の後、消費者は解決策を見つけるために情報を集めます。これには、インターネット検索、友人や家族の意見を聞く、広告を通じて情報を得る、などが含まれます。消費者はこの段階で製品の特徴や価格、口コミを確認し、選択肢を絞り込みます。
内的探索と外的探索:
- 内的探索: 過去の経験や記憶からの情報を利用する。
- 外的探索: インターネット、友人、レビュー、広告など外部からの情報を収集する。
3. 代替品の評価（Evaluation of Alternatives）
消費者は、集めた情報をもとに複数の選択肢を比較し、最も自分に適した製品やサービスを評価します。ここでは、各製品の特性や価格、品質、ブランドイメージなどが比較されます。消費者が持つ価値観や基準、またその時点での状況によって評価の方法は異なります。
例:
- A社の冷蔵庫はデザインが良いが、B社の方が容量が大きい。
- 価格が少し高くても信頼できるブランドを選びたいか、安価で機能が十分な製品を選ぶか。
4. 購入意思決定（Purchase Decision）
評価の結果、最終的にどの製品やサービスを購入するかを決定します。ただし、この段階で購買行動が即座に行われるわけではなく、例えば予算の問題や、他の人の影響、タイミングなどが最終決定に影響を与えることがあります。
購買の阻害要因:
- 価格が予算を超えているため購入をためらう。
- 周囲からの反対意見によって購入を見送る。
5. 購買後の評価（Post-Purchase Evaluation）
消費者は購入した製品やサービスに対して満足度を評価します。もし期待を上回る結果であれば満足し、再度購入したり、他者に推薦したりすることがあります。一方、期待を下回る場合は不満足を感じ、そのブランドや製品を避けるようになる可能性があります。ここでの経験が、次の購買行動に影響を与えるため、重要な段階です。
購買後行動:
- 満足: 製品が期待通り、またはそれ以上であれば、再購入や口コミを通じて他者に推薦する。
- 不満: 製品が期待に応えなかった場合、返品やクレーム、ネガティブな口コミを投稿する可能性がある。
追加モデル: AIDMA、AISASなど
この基本的なプロセスに加えて、以下のようなモデルが消費者行動をさらに詳しく説明しています。
- AIDMAモデル: Attention（注意）→Interest（関心）→Desire（欲求）→Memory（記憶）→Action（行動）の段階を説明するモデルで、特に広告やプロモーションの効果を測る際に使用されます。
- AISASモデル: Attention（注意）→Interest（関心）→Search（検索）→Action（行動）→Share（共有）の段階で、特にインターネット時代における消費者行動を説明するモデルです。
消費者行動の理解は、消費者がどのように製品を知り、購入を決定し、購入後にどのような評価を行うかを明らかにするために重要です。